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淺沼 晋

消毒液の作り方

更新日:2020年6月6日

新型コロナウイルスの猛威は、依然として収まる気配がありません。特効薬やワクチンがない今、マスクや手洗い、手指や生活環境の消毒などで対処していくことが我々のできる最善の対策となります。しかし、皆さんご存知の通り、マスクが品薄なのはもちろんのこと、消毒のためのアルコール含有製品も品薄が続いています。代替品として、市販の塩素系漂白剤や台所用洗剤などが有効であるとの情報も、行政からの情報やネットを中心にたくさん上がっています。

ここでは、いくつかのアルコールの代わりになる消毒方法の紹介と、消毒液を作る際の計算方法について簡単に説明したいと思います。




●次亜塩素酸ナトリウム

新型コロナウイルスに有効な消毒液として、よく知られているのが次亜塩素酸ナトリウムです。塩素系漂白剤の主成分であり市販のハイターやブリーチなどが有名です。

次亜塩素酸ナトリウムは、濃度0.05%~0.1%に薄めて、机や手すり、ドアノブなどの消毒に利用します。ただし、時間の経過とともに次亜塩素酸は分解されてしまうため、できるだけ新しいものを使用することや、使用の都度薄めて作ることをお勧めします。

(※ハイターに関しては、花王のホームページに購入から経過した期間に応じた希釈の目安が示されています)

なお、強アルカリで人体への刺激が強いため手指の消毒には適しません。取り扱う際には必ずゴム手袋などを装着し、消毒するものの素材によっては腐食や脱色などが起こる可能性があるため注意が必要です。

●界面活性剤(台所用洗剤など)

新型コロナウイルスはエンベロープという脂質二重膜構造を持っています。台所用製剤などの界面活性剤には、エンベロープの脂質二重膜や膜タンパク質を変性させる効果が期待されています。

現状では有効性についてまだ検証段階のようですが、2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)の原因であるSARSコロナウイルスへの有効性が示されています。(ちなみに、新型コロナウイルスも『SARSコロナウイルス-2』という名前がついています。)

界面活性剤をぬるま湯に溶かして濃度0.5%以上(台所用洗剤の濃度として)に薄めたものを、ドアノブや照明などのスイッチ、テーブル、ソファーなどの消毒に利用できます。利用の際は、調製した液に浸した雑巾や、調製した液をスプレーした布で拭くといいでしょう。

安価で供給も安定しているため、身の回りの消毒に最も手軽に利用できるのではないでしょうか。

●塩化ベンザルコニウム

塩化ベンザルコニウムは一般的にはあまりなじみのない成分かもしれません。主に細菌に対して強い抗菌効果を発揮しますが、一方で多くのウイルスには効果が期待できないとされています。ただし、前述したエンベロープを持つタイプのウイルスに対しては一定の効果が期待されており、界面活性剤と同様に有効性の検証段階です。

ドラッグストアで販売されている商品には『オスバンS』(第3類医薬品)があり、手指の消毒には濃度0.1%に薄め、手のひらにとって乾燥するまでよくすり込みます。机やドアノブなどには0.1~0.2%に薄め、乾いた布などにスプレーして拭きとります。




●希釈の計算方法

消毒液を作るときには多くの場合原液を薄める必要があります。

各製品の使用方法の欄に「調製したい濃度への薄め方」が記載してあるとは思いますが、以下の式を使えば必要な原液の量や、作りたい消毒液の量などを簡単に求めることができます。


(原液の濃度[%])×(原液の量)=(作りたい消毒液の濃度 [%] )×(作りたい消毒液の量)

例えば、濃度6%の塩素系漂白剤から、0.05%の消毒液を作る場合を考えてみましょう。

原液のキャップ一杯が25mlとすると、このキャップ一杯から作れる消毒液の量(Xml)は?


6(%)×25(ml)=0.05(%)×X(ml) X=6×25 / 0.05=3,000

となり、3,000mlの消毒液を作ることができます。

この際、25mlの原液に水2,975mlを加えて、合計3,000ml(3ℓ)にします。


また、消毒液を600ml作りたい場合に必要な原液の量(Yml)は?


6(%)×Y(ml)=0.05(%)×600(ml) Y=0.05×600 / 6=5

となり、5mlの原液を用意すればいいことになります。

この際は、5mlの原液に水595mlを加えて、合計600mlにします。

新型コロナウイルスから身を守るためにも、身近なものを有効活用していきましょう。



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