新型コロナワクチンについて
- Wakako Yoshida
- 2021年1月25日
- 読了時間: 3分
新型コロナワクチンの開発状況は日々刻々と変わってきていますが、ここでは2021年1月25日時点の状況を紹介します。
現在、欧米では3つワクチンの使用が開始されており、これらは日本でも開発が進められています。一番先行しているのはファイザー社のワクチンで、日本では2月末の使用を目指して有効性と安全性の審査が進められています。
日本では、感染者増に歯止めがかからず、1月8日に二度目の緊急事態宣言が出されました。状況を打破するためにもワクチン接種開始が切望されていますが、急ピッチな開発に、有効性と安全性に問題はないのでしょうか。実際に接種するとなると不安を感じる人も少なくないと思われます。3つのワクチンの3~4万例を対象とする海外で実施された臨床試験から、次のような有効性と安全性の成績が報告されています。
有効性について
ワクチンの新型コロナ発症の予防効果は、ファイザー社で95.0%、モデルナ社で94.5%、アストラゼネカ社は投与量の異なる2つの試験で90.0%と62.1%でした。インフルエンザワクチンの有効率が52.9%(2015年/16シーズン)との報告があるので、それと比べるとかなり高く、大変良い結果が得られています。ただし、長期的な効果、つまり6か月後、1年後も感染を予防できるのか、また変異株に対して有効かどうか等、現時点ではわからない点には留意が必要です。
安全性について
重篤な有害事象は、ワクチン群とプラセボ群(偽薬)で同程度でした。ワクチンの副反応として想定される注射部位の痛みがファイザー社とモデルナ社で70~80%、アストラゼネカ社では20~60%でみられています。インフルエンザワクチンの10~22%と比べて高くなっています。また倦怠感、頭痛、寒気などの全身反応は一時的ではありますが、多くみられています。

以上は、海外の臨床試験中におけるデータです。特に新型コロナに感染したときのリスクの高い人は接種する方がよいと言ってよいと思いますが、実臨床で多くの人に使われたときの有効性と安全性は、今後明らかになっていきます。
日本では、2月下旬から国立病院など1万人の医療従事者に先に接種が開始される予定です。この1万人の投与を示して国民の不安感を払拭して、接種を促したいものと思われます。
一人一人が新型コロナワクチンの有効性、安全性と接種の必要性を十分に理解した上で接種すべきか判断できるようにすべきかと思います。また、どのワクチンを接種するかを選ぶことはできません。それぞれのワクチンの国内外の最新の有効性と安全性を行政がわかりやすく説明する必要性があると考えます。
3つの新型コロナワクチンは現時点で有効性と安全性は高いと言えますが、摂取によるリスクはゼロではありません。また有効な期間などの不確実性も残ります。接種を希望しない人に対して、行政がどのように動くのか、社会がどのように動くのか、気になるところです。
補足1: 各ワクチンを日本人に投与した臨床試験も実施されています。その結果は、承認後に公開されて、確認することができるようになります。
補足2: 3つのワクチン以外にも国内外で複数のワクチンが開発されています。
参考:
1) COVIT-19ワクチンに関する提言(第1版),一般社団法人日本感染症学会,ワクチン委員会, 2020年12月28日
2) 新型コロナワクチンまとめ(医療従事者向け)2021年1月21日 http://akkie.mods.jp/2019-nCoV/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81
3) 厚生労働省 新型コロナワクチンについてのQ&A https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00222.html
2021年1月25日
Comments