様々なウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の世界的流行により、感染症に注目が集まっています。テレビでしょっちゅう紹介されているので、改めての説明は不要かもしれませんね。そこで、ここでは感染症、特にウイルス感染症と、感染がどのように成立するかを簡単に説明したいと思います。
感染症とは、病原体(病気を引き起こす小さな微生物)が体内に侵入することで発症する病気です。病原体には、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫など様々あり、細菌よりも小さいウイルスを原因とするものがウイルス感染症です。原因ウイルスには様々あり、有名なのがインフルエンザウイルスです。その他にもロタウイルス、ノロウイルス、RSウイルス、HIV、C型肝炎ウイルスなど挙げればきりがありません。
感染が成立するための要件とは
すべての感染症に共通して言えることは、感染成立には三要件(感染源、感染経路、宿主)が必要だということです。
病原体が定着している人が感染源です(人に限らず動物や場のこともあります)。感染源があっても、病原体が宿主(病原体が辿り着く先)に辿り着かなければ感染は成立しません。病原体が宿主に辿り着くまでの経路を感染経路といい、大きく垂直感染と水平感染(周囲に感染を広げる)に分けられます。垂直感染は、妊娠・出産時に母親から赤ちゃんに感染するものです(母子感染ともいいます)。水平感染は、感染源から周囲に感染を広げるものです。新型コロナは水平感染にあたります。さらに水平感染には、接触感染(感染源に直接接触して感染)、飛沫感染(咳やくしゃみなどの飛沫に含まれる病原体により感染)、空気感染(空気中に浮遊する病原体により感染)、媒介物感染(病原体に汚染された媒介物〔飲食物、血液など〕で感染)があります。病原体や感染経路があっても、宿主に抵抗力があれば、これもまた感染は成立しません。
三つの要件をターゲットにした感染対策
新型コロナの感染対策として、様々な対策を取られてきました。これらは、いずれも感染成立の三要件をターゲットにしたものです。感染者を追跡し隔離するのは、感染源に対する対策です。マスクやソーシャルディスタンス、手洗い・うがいなどは、感染経路を断つ対策です。そして、宿主に対する対策がワクチンの接種です。感染力が強い新型コロナにおいては、ワクチン接種がやはり重要なのです。
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