今回は、薬の名前についての話です。
実は、みなさんが病院やクリニックで処方してもらう薬の名前はひとつだけではありません。
薬の名前には、販売名、一般名、化学名があり、この中でみなさんが普段よく目にする名前は販売名です。
例えば、非常に有名な痛み止めの『ロキソニン』は販売名です。
販売名とは、その薬を販売する製薬企業が独自につける名前、いわゆる商品名のことです。先発医薬品(特許を持ち、初めて発売される薬)には、この販売名がつけられています。
それでは、一般名となんでしょう? これは、その薬の成分の名前です。
ロキソニンの一般名は『ロキソプロフェンナトリウム水和物』といいます。長くて覚えにくいですね……(笑)
実は、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の販売名は、この一般名に薬の剤形と成分の含有量、会社名を加えて名づけられています。
例えば、東和薬品が出すロキソニンのジェネリックは『ロキソプロフェンNa錠60mg「トーワ」』です。
ちなみに、ジェネリック医薬品と呼ばれるのは、一般名のことをGeneric Nameということからきています。
最後に、化学名というものもあります。
化学名はIUPAC命名規則に従ってつけられる医薬品の名称で、世界共通に用いられ、化学的に最も正確な名前と言えるものです。
ロキソニンの化学名は『Monosodium 2-{4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl}propanoate dihydrate』です。
しかし、この化学名は長くて難しすぎるため、普段みなさんが目にしたり聞いたりする機会はほぼないかと思います……。
その他の例としては、
販売名『クラリチン』
一般名『ロラタジン』
化学名『Ethyl 4-(8-chloro-5,6-dihydro-11H –benzo [5,6] cyclohepta [1,2-b] pyridin-11-
ylidene)-1- piperidinecarboxylate』
販売名『タミフル』
一般名『リン酸オセルタミビル』
化学名『(-)-Ethyl(3R,4R,5S)-4-acetamido-5-amino-3-(1-ethylpropoxy) cyclohex-1-ene-1-
carboxylate monophosphate』
などがあります。
最近では、ジェネリック医薬品の普及と、処方せんに薬の名前を一般名で記載する『一般名処方』も増えてきているため、一般名がみなさんの目に留まる機会も増えてきています。
今まで目にしていた販売名から一般名になることで、全く別の薬になってしまったように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、薬の成分としては全く同じものなのでご安心ください。
(参考文献:「医薬品インタビューフォーム『ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%』『クラリチン錠10mg/クラリチンレディタブ錠10mg/クラリチンドライシロップ1%』『タミフルカプセル75/タミフルドライシロップ3%』」、「医薬品の一般的名称の取扱いに関する事務手続等について/厚生労働省」)
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